新しい抗がん物質の発見


ラス遺伝子(最も変異性の高い発がん遺伝子)によってがん化した細胞を正常形態に引き戻す物質「ダムナカンタール」を、ノニ(学名モリンダシトリフォリア)の根っこの成分中から発見したのは、慶應義塾大学で生体医工学を専攻していた若手研究者平松朋紀氏だった。 平松氏はラス遺伝子関与のがんを抑制する抗がん物質を見つけるため、5ヶ月間にわたり500種類の熱帯植物をテストするなかでついにノニの根からその強力な抗がん物質の単離に成功したのである。 ラスがん細胞は触手(突起)を伸ばして際限なく増殖していくのだが、そのがん細胞にダムナカンタールを加えてやると突起が消え増殖が疎外されるのだ。さらにもう一つ、細胞はその形態と正常な働きを維持するために細胞内骨格(アクチンファイバー)を持っているのだが、がん細胞ではそれが崩壊している。ところが、そのがん細胞にダムナカンタールを添加してやると、崩れた細胞内骨格がきれいに再構築(修復)され、正常化するのだ。 このダムナカンタールの画期的な抗がん作用についての研究成果は1993年にがんの世界的専門誌「キャンサーレター」や「アメリカ癌学会」「日本癌学会」で立て続けに発表され、ノニの抗がん作用を裏付けるものとして注目を集めたのである。



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